【第1回】 世界で注目されている「ゲーミフィケーション」とは一体!?
2022.1.12
その可能性について、第一線で研究をしている東京大学の藤本徹准教授にお話を伺いました。
本シリーズでは「ゲーミフィケーション」の考え方や活用方法、ゲームとの関わり方について、全10編の連載形式でお届けします。
東京大学大学院 情報学環 准教授 藤本 徹(ふじもと とおる)先生
慶應義塾大学環境情報学部卒。民間企業等を経てペンシルバニア州立大学大学院教授システム学博士課程修了。博士(Ph.D.)。情報学環特任助教、大学総合教育研究センター助教、特任講師を経て、2019年より現職。専門は教授システム学、ゲーム学習論、オンライン教育。著書に「シリアスゲーム」(東京電機大学出版局)、「ゲームと教育・学習」(共編著・ミネルヴァ書房)、訳書に「幸せな未来は「ゲーム」が創る」(早川書房)など。
楽しみながら学ぶ!ゲーミフィケーションの魅力とは。
世界で注目されている「ゲーミフィケーション」とは一体!?
■ゲーミフィケーションとはなにか!?
藤本先生は、人の学びや成長につながる「楽しい経験(Ludic Experience)」を作り出す教育プログラムの研究や「ゲーミフィケーション」を取り入れた学習コンテンツの開発、調査研究に取り組んでおられます。先生が研究されているゲーミフィケーションとはどういったものなのでしょうか。
様々な人との関わり方をゲーム以外のところに取り入れることです。
ゲームの中で取り入れられているような“ゴール“、“ルール”や“フィードバックシステム”などを組み合わせて、参加したくなる仕掛けをデザインし、社会に実装する取り組み全般を指します。
魅力的なゴール設定や、「やってみたい!」と思うようなゴールまでのルール作りなど、面白く楽しく参加できるような仕掛け作りをしています。
ゴールに対して、今順調に進んでいるのか、足りないことがあるのか、コンスタントにフィードバックしていくことで楽しく参加することができます。
■フィードバックを得ながら学ぶ
「ゲーミフィケーション」を教育に取り入れて学習効果を高める研究がされていると伺いましたが、学習にどう活用できるのでしょうか。
それで赤点だと落ち込んだり、がっかりしますよね。学校では中間テストや期末テストがありますが、中間テストでうまくいかなかった場合、次は期末テストまで期間があいてしまいます。
そういう環境を作っていくことが「ゲーミフィケーション」×教育の1つの考えですね。
こちらについては第四回で詳しくお話ししますが、「ちょっとおもしろそうだからやってみよう!」というように、学習を楽しく継続するきっかけを生み出すための工夫として、ゲーミフィケーションを活用することができます。
■楽しく学習するヒントを集めよう
時間制限の設定の仕方や、答えたくなるようなクイズの問いかけなど工夫できるところはたくさんあります。
例えば、謎解きのように「もっと知りたい!」という気持ちになるような課題を取り入れてみたり、ミステリーのように「次の展開はどうなるんだろう?」と問いかけをして、「じゃあ、ちょっとやってみようか。」と進めてみたりとかですね。
あとは「これできるかな?」と子どもが「ちょっとがんばればできそうだ!」と思えるような課題設定をしていくことで、少しずつ上手くなっていくような段階が踏めると良いと思います。
楽しく参加するきっかけとして、運の要素を取り入れてみることもおすすめです。
例えば、“今日のお手伝いダーツ”みたいなものを作り、ダーツで今日のお手伝いを決めるなど、そういったものはご家庭での工夫として取り入れられます。
ちょっとだけゲームに観点を寄せてみると、工夫できることがいろいろ出てくることに気がつくと思います。
操作の仕方がわからなくても進めていくうちにだんだんとルールがわかるようになる仕組みからアイデアをもらって家庭の中に取り入れてみるのも良いと思います。
そのためには、保護者の方も世の中で流行っているゲームを少し調べてみたり、「こういうのいいな」と思うようなものを探してみたり、「これやってみると面白いんじゃないか」と関わる大人も探究心を持つこと。そういう姿勢で、子どもと接するのが大事だと思います。