【第1回】 非認知能力ってなに? ~前編~

【第1回】 非認知能力ってなに? ~前編~

210601-111121b_2.jpg岡山大学全学教育・学生支援機構 准教授(教育方法学)中山芳一(なかやまよしかず)先生
1976年1月、岡山県岡山市生まれ、現在45歳で3児の父親。岡山大学教育学部卒業後、当時は岡山県内に男性一人といわれた学童保育指導員として9年間在職。学童保育の研究が将来的な学童保育の充実に必要不可欠と確信し、教育方法学研究の道へ方向転換した。現在は、岡山大学全学教育・学生支援機構 准教授として学生たちのキャリア教育や課外活動支援を担当するとともに、全学生必修の初年次キャリア教育の主担当教員も務める。そして、20年以上に及ぶ小学生と大学生の教育経験から、「非認知能力の育成」という共通点を見出し、全国各地で非認知能力の育成を中心とした教育実践の在り方を提唱している。現在、幼児教育や小中高校の教員、一般の児童・生徒や保護者を対象とした講演会の回数は年間250件を超える。

これまでの主な著書
・『東大メンタル―「ドラゴン桜」に学ぶやりたくないことでも結果を出す技術』 (2021年、日経BP)
・『大学生のための教科書』 (2020年、東京書籍)
・『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』 (2020年、東京書籍)
・『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』 (2018年、東京書籍)
・『新しい時代の学童保育実践』 (2017年、かもがわ出版)
・『コミュニケーション実践入門』 (2015年、かもがわ出版) 



家庭で伸ばそう!
学力テストで測れない非認知能力!!

非認知能力ってなに? ~前編~



■「非認知能力」というホットワード

2018年11月に私が『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(東京書籍)を執筆したとき、「非認知能力」というワードをタイトルに銘打った本は5冊程度しかありませんでした。しかし、あれから3年が経ち2021年11月になって同様に数えてみると、なんとその数20冊を超えるほどとなっています。それだけ多くの方々の関心が高まってきている「非認知能力」というホットワードですが、みなさんはご存知でしたか? なんだかすごく新しい言葉のように見えますが、決してそうではありません。なぜなら、私たちにとって大変親しみ深いものを単に総称しているだけだからです。

 それでは、非認知能力について説明していきましょう。まずは、「非+認知+能力」に分けてみますね。すると、「認知できない能力」という意味なのだと分かります。次に、最も厄介な言葉になりますが「認知」の意味について説明しておきましょう。ここでいう認知とは「点数などにして測定する」という意味で使われています。従って、認知能力とは点数などにして測定できる力(主には学力)であり、一方の非認知能力とは点数などにして測定できない力であることがわかります。

 先ほどもこの「認知」という言葉がとっても厄介だと言いました。その理由は、心理学や脳科学の領域で使用する認知と先ほどの認知とは異なった意味で使われているからです。みなさんは「認知機能」という言葉をご存知ですか? この認知機能とは、例えば私たちがお酒を飲み過ぎてしまったときに機能しなくなって「認知機能障害」を起こしてしまうものです。つまり、ここでいう認知機能の「認知」とは、知覚や記憶、理解や判断、想像や推測といったことを一手に意味しています。これらの中には点数にして測定できるものもあれば、測定できない(しづらい)ものもあることはおわかりでしょう。これが心理学や脳科学の領域で意味している認知です。そして、経済学領域で意味する認知は先ほどの通りですから、それぞれに異なっていることがわかります。

 少し細かい話になってしまいましたが、ここで使う非認知能力という言葉は、あくまでも点数にして測定できない力の総称であることを踏まえて、下図のように整理しておきましょう。すると、私たちがこれまで「○○な心」とか「□□気」と呼んでいたようなものが非認知能力の中に該当していますよね。一気に親しみがわいてきませんか?

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