親子で学ぶマネー学①

親子で学ぶマネー学①

【親子で学ぶマネー学①】

 子どもの受験で気になることの一つにお金の問題があります。教育費、とくに大学進学にかかる費用は家計にとって大きな負担となります。ここでは、大学受験から入学までの費用、入学時の費用について、実際にどういった費用が必要なのか見ていきましょう。



①大学受験にかかるお金

 

出願するだけでも12万円!

 受験にかかる費用として、受験料、交通費、宿泊費などが挙げられます。
 2021年度入試の受験料は、共通テストが1万8000円(3教科以上受験の場合/2教科以下は1万2000円)、国公立大2次試験が1万7000円、私立大一般方式で約3万~3万5000円となっています【表1】。国公立大2校(前・後期)と私立大2校へ出願すると、受験料だけで約12万円が必要となります。学費の準備はしていても、受験料まではなかなか気が回らないものですが、出願するだけでもこれだけの出費になるのです。

【表1】大学の受験料(2021年度入学者用).png



遠方での受験には交通費や宿泊費の準備を

 遠方の大学を受験する場合には、このほかに交通費や宿泊費が必要になります。

 交通費・宿泊費は受験する大学の所在地や受験校数によって変わってきます。遠方の大学を受験すると交通費も相当な額となり、試験日によっては何回も受験旅行を繰り返したり、ホテルなどに長期滞在したりといったケースも出てきます。無駄な出費を抑えるためにも、往復割引・学生割引・新幹線回数券、受験生割引や早期購入割引など、各種交通機関が設けているさまざまな割引制度を活用するとよいでしょう。

 宿泊については、各旅行会社が受験に便利な宿泊施設をセレクトした「受験生の宿」などのパック商品を販売しています。料金は首都圏で1泊朝食付8000円~1万8000円程度(ホテルのシングルルーム利用)が中心です。施設や設備はさまざまですが、試験会場までの送迎や試験当日の弁当の手配、勉強用電気スタンドの貸出しなど、受験生のためのサービスが充実しており、慣れない土地での受験には便利です。

 また、本学会場のほかに全国各地に試験会場を設けている大学が多くあります。わざわざ遠方へ出かける必要がない分、費用はもちろん、受験生の時間的・体力的な負担も軽減できます。【表2】では受験にかかる費用をシミュレーションしてみました。

【表2】大学受験にかかる費用(受験料・交通費・宿泊費)1.png

【表2】大学受験にかかる費用(受験料・交通費・宿泊費)2.png

 

 ここでは共通テスト利用方式や地方試験を活用して私立大を受験することで出費を抑えています。志望校の入試制度をよく調べ、無駄のない受験を心がけたいものです。



②入学時にかかるお金

 

入学手続き まず必要なのは入学金相当額

 大学に合格して次に必要となるのが「初年度納付金」です。合格しても指定期日までに納めなければ入学は認められません。初年度納付金の内訳は入学金・授業料・施設設備費・実験実習費・諸会費などですが、このうち入学手続き時に納入するのは入学金と前期分の学費というのが一般的です。
 多くの私立大では、他大学と併願している受験生のために、入学手続きを2段階に分けています。その場合、1次手続きで入学金相当額を「入学申込金」として納入し、2次手続きで残額を納入するというパターンが多いようです。

 もしこれらの入学手続きをすべて済ませた後で入学を辞退したくなった場合、納付金(授業料等)返還については、「3月31日までに入学を辞退すれば、入学金を除く学納金を返還する」としている大学が一般的です。ただし、大学ごとに対応は異なるので、各大学の募集要項をしっかりと確認しておきましょう。



併願校同士の手続き期間の確認も忘れずに

 大学への納付金についてもう一つ気にかけておきたいのは入学手続きの日程です。試験日程の関係で必ずしも第1志望校の合格発表が最初になるとは限りません。第1志望校の合格発表前に志望順位の低い大学の合格が決まり、入学申込金を納めなければならない事態が往々にして発生します。

 できれば無駄の出ないよう併願する受験校を考えたいものです。受験大学の合格発表・入学手続きの日程をしっかりと確認し、入学申込金の支払いも一回で済むような受験プランを組むようにしましょう。



気になる初年度納付金

 実際に初年度納付金はどれくらいの金額になるのかを見ていきましょう。
 国立大の場合、初年度納付金の標準額は81万7800円となっています。内訳は入学金が28万2000円、授業料が53万5800円です。

 一方、私立大の初年度納付金総額の平均は約147万円(2019年度文部科学省調べ)。国立大の約1.8倍です。ただし、私立大の場合は学部・系統により金額に開きがあります【表3】。理系は文系に比べると、高度な実験・実習を行うために学費は高くなっています。

【表3】初年度納付金の平均額.png

 初年度納付金は、ここ数年はほぼ横ばいとなっています。ただし、スライド制(消費者物価指数などに応じて額が変動)を採用する大学も多く、在学中に授業料が変動する可能性もあります。子どもの大学進学にあたっては、卒業までを見越してしっかりした資金計画を立てる必要があります。なお、2020年4月より高等教育の修学支援新制度が始まりました。年収380万円未満(※)の世帯を対象に収入に応じた授業料等の減免と奨学金の給付が行われています。(※両親・本人・中学生の家族4人世帯の場合の目安



入学時の住宅関連費用

 自宅外通学の場合、このほかに住宅関連費用(家賃・敷金礼金・生活用品費等)が必要となります。

 下宿生の住まいは、地域によって家賃や設備に差がありますが、マンションまたはアパートで8畳程度の洋室/バス・キッチン付きといったものが一般的です。

 合格発表から入学までの限られた時間に加え、慣れない土地での住まい探しとなると、満足できる住まいを確保するのはなかなか難しいのが実状のようです。子どもを恵まれた住環境で生活させたいのは当然のことですが、設備のよいところは家賃もそれなりにかかります。家賃の額はその後の仕送り額にも大きく影響しますので、家庭の経済事情を踏まえ、親子ともども納得できる物件かどうかよく相談して決めたいものです。

 このほかにも、入学式の関連費用(スーツなど)や教科書などでもお金が必要となります。大学への納付金以外の費用についてもあらかじめ算出しておくとよいでしょう。 

次回「親子で学ぶマネー学②」では奨学金や教育ローンについてご紹介します!




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