親子で学ぶマネー学②

親子で学ぶマネー学②

【親子で学ぶマネー学②】

 子どもの受験で気になることの一つにお金の問題があります。教育費、とくに大学進学にかかる費用は家計にとって大きな負担となります。ここでは、大学受験から入学までの費用、入学時の費用について、実際にどういった費用が必要なのか見ていきましょう。

 「親子で学ぶマネー学①」で見てきたように、大学生1人にかかるお金は相当な額になります。首都圏私立大の新入生の家庭を対象とした調査でも、9割以上の家庭が受験から入学までの費用の負担を「たいへん重い」または「重い」と感じています(東京私大教連調べ)。場合によっては、家庭の経済的負担を軽くする奨学金や教育ローンなどを上手に利用したいものです。



③奨学金・教育ローンの利用

 

●奨学金制度

日本学生支援機構奨学金

 日本学生支援機構は日本育英会に代わり2004年4月に設立されました。奨学金制度のなかでは最も利用者が多く、100万人近くの大学生(短大生含む)が利用しています。

 この奨学金は貸与型で、奨学生が卒業後に奨学金を返還することで、循環運用しています。貸与型奨学金には、第一種(無利子)と第二種(在学中は無利子、卒業後は有利子で年3%を上限とする)があり、いずれも学業成績と経済状態の二つの基準を満たしていることが採用の条件となっています【表8】。第二種奨学金は貸与額を2万円~12万円(1万円刻み)から選択できます。第一種と第二種はあわせて貸与を受けることも可能ですが、卒業後に学生本人が返還することになるため、必要な金額をよく検討する必要があります。

【表8】日本学生支援機構 奨学金制度(2021年度入学者予約用).png

 貸与型奨学金の募集は進学の前年に奨学金を予約する「予約採用制度」と、大学進学後に申し込む「在学採用制度」があります。予約採用の場合、高校を通じて申し込みます。すでに卒業している場合でも進学前であれば、卒業後2年以内は出身高校を通じて予約申し込みが可能です。募集時期は学校によって違いますので、希望する場合は高校の先生(高卒者は出身高校)へ早めに相談しておくとよいでしょう。

 また、2020年4月からは従来の給付型奨学金の支給に加え、授業料等の減免(授業料と入学金の免除または減額)の二つの支援が受けられる高等教育の修学支援新制度が始まりました。学力基準(学業成績もしくは学修意欲(高校等において面談またはレポートの提出により確認))と家計基準それぞれの要件を満たし、進学予定校が国の確認を受けた支援対象の大学であることが必要となります。貸与型と同様、進学前も進学後も申し込むことができます。制度の詳細や、自身が支援の対象となるか、どれくらいの支援が受けられるかは日本学生支援機構のホームページでシミュレーションすることができますので、確認してみるとよいでしょう。

その他の奨学金制度

 都道府県や市町村など地方自治体でも多くの奨学金制度が設けられています。ただし、対象はその奨学金団体所在地に居住する者、またはその子弟に限られることがほとんどです。

 募集人数や支給金額、給付型か貸与型かは、各団体によってさまざまで、日本学生支援機構など他の奨学金との併用が認められないケースもあります。申し込みも大学が窓口になるものや直接教育委員会などに申し込むものなどがあります。希望する場合は、なるべく早い時期に在住地区の教育委員会等に問い合わせ、確認しておくようにしましょう。

 また、大学には独自の奨学金制度を持つところも多くあります。制度の内容はさまざまで、家計状況や成績基準を満たす者への奨学金のほか、取得した資格に応じるものや、兄弟姉妹が同時に在籍している場合の同窓生割引、地震や風水害で被災した学生への支援などがあります。





●給費・特待生入試

 大学進学に伴う経済的負担の軽減を目的に各大学で実施されるのが、給費・特待生入試です。スカラシップ入試、奨学生入試と呼ばれることもあります。一般選抜とは別日程で行われる場合と、一般選抜の受験生のなかから成績優秀者を特待生・奨学生として採用する場合があり、ほかに総合型選抜や学校推薦型選抜として実施されることもあります。待遇は大学によって異なりますが、

・入学金の全額、あるいは 一部を免除
・授業料の全額、あるいは 一部を免除

というケースが一般的です。
 これらの制度では入学前に支給対象となるかどうかわかるのが嬉しいところです。一般選抜に比べると、競争率は高くなることが多いという難点もありますが、志望する大学にこの制度があれば積極的に利用したいものです。



●教育ローンの利用

 東京私大教連の調査によると、入学費用を「借入れた」家庭は約17%、借入額の平均は194万円。自宅外通学の子どもをもつ家庭の場合は約21%、借入額の平均も222万6000円と高くなっています。

 進学・教育ローンの内容はさまざまですが、一般的なローンと比較すると、低い金利が設定されています【表9】。なかでも国の資金で運営されている「国の教育ローン」(日本政策金融公庫)は、低金利で融資条件も比較的緩やかなため人気が高いようです。受験費用、入学費用、在学費用のすべてを対象とし、一定の条件を満たしていれば融資限度額は学生1人につき450万円まで。インターネットや全国の日本政策金融公庫、銀行、信用金庫などで申し込むことができます。

【図表9】教育ローンのいろいろ.png

 このほか民間金融機関でも各種の教育ローンが設置されています。返済方法も多様で、卒業後に子どもが返済を引き継ぐ、親子リレー型返済などもあります。大学によっては独自の貸与・融資制度を設けているところもあります。

 いずれにしても、早めに資料を取り寄せ、窓口で相談するなど、無理なく上手に利用するとよいでしょう。




© 河合塾 全国進学情報センター 『2021 親と子の大学受験情報誌 栄冠めざして Family』 2021年